京都の生活 第147 盆蘭 (2013.3.13)

半世紀以上も昔、祖父が大事に育てていた東洋蘭の株が、廻りめぐって昨年我家にやってきた。そして今春、花芽がみるみる伸びてきたがと思うと、うす緑色の花をひとつ咲かせはじめた。

 東洋蘭(春蘭)には蘭と宦iケイ)の二種類があって、前者は一茎一花、後者は複数花を咲かせる。派手な西洋蘭と異なり、谷間にひっそりと咲き、その香が高貴なことから中国でも、日本でも愛されている。

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なるほど、地味な花であるが思ったより大きく、一弁は3センチもある。咲き始めて数日、微かな匂いが伝わってくる。それは今まで経験したことのないような高貴な匂いであった。

 早速詩に詠んでみた。虚堂とは何もない部屋をいう。60年ぶりに元の鉢に植えられたまま我家へやってきたこの老株(何回か株分けをされたようではあるが)は、花開いて楚楚とした香を送っている。。